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増える「定期借家」契約、その実態と注意点を解説|東京23区では渋谷区が最多

2026.09.18

「この部屋、更新できないんですか?」

 

物件探しの中で、そんな説明を受けたことはありませんか。

 

結論からいうと、契約期間が満了すると原則更新できない「定期借家」契約は、首都圏の賃貸市場で年々存在感を増しています。この記事では、最新の調査データと専門家の解説をもとに、その実態と部屋探しで気をつけたいポイントを解説します。

 

「定期借家」契約とは

定期借家契約とは、あらかじめ賃貸期間を定めて結ぶ契約のことです。期間が満了すると契約は終了し、更新や途中解約は原則としてできません。継続して住みたい場合は、貸主との合意による「再契約」が必要になります(出典:株式会社LIFULL 2025年12月9日発表)。これに対し、一般的な「普通借家契約」は、更新料を支払うことで期間満了後もそのまま住み続けられる契約形態です。

実際にどれくらい増えているのか

LIFULL HOME’Sが2025年12月9日に発表した調査によると、2022年1月〜2025年11月の間の定期借家物件の掲載割合は、首都圏全体で8.7%でした。中でも東京都は2025年に9.3%まで上昇し、3年間で3.6ポイント増加しています。周辺県ではさらに上昇ペースが速く、神奈川県(8.5%、+4.1pt)、埼玉県(6.6%、+3.8pt)は、いずれも東京都の上昇幅を上回りました(出典:同上)。

 

東京23区に限ると、2025年の定期借家シェアは9.5%と、東京都全体(9.3%)よりも高い結果でした。区別に見ると、シェアが最も高いのは渋谷区の18.1%で、区内の掲載物件の2割近くを占めています。2024年と比較してシェアが伸びた区は23区中19区に及び、特に品川区(6.8%→15.3%、+8.5pt)、千代田区(5.2%→12.7%、+7.5pt)は大きく伸ばしました。一方、シェアが5%未満なのは台東区・大田区・墨田区・板橋区・江戸川区の5区でした(出典:同上)。

 

アットホームの調査でも同様の傾向

アットホームが2026年5月21日に発表した「2025年度『定期借家物件』の募集家賃動向」でも、同様の傾向が確認されています。首都圏の定期借家の平均募集家賃はマンション・アパートともに前年度比で概ね上昇し、定期借家の割合も全エリアで上昇しました。特に東京23区のマンションでは、面積帯を問わず定期借家の割合上昇が目立ち、都心やファミリー向け以上の物件で活用が広がっているとされています(出典:アットホーム株式会社 2026年5月21日発表)。

「定期借家は安い」は本当か

定期借家物件は、貸主の判断で家賃が安く設定されているケースも多いと言われています。しかし、今回のLIFULL HOME’Sの調査では、意外な事実が明らかになりました。東京23区では、これまで一貫して定期借家の平均賃料が普通借家を上回って推移しているものの、賃料の上昇率で見ると普通借家の方が高くなっているのです。2025年の前年比では、定期借家が104.0%に対し、普通借家は109.8%。2022年との比較でも、定期借家(119.2%)に対し普通借家(124.5%)の方が上昇幅が大きいという結果でした(出典:同上)。つまり、絶対額では定期借家の方が高い一方、上昇スピードは普通借家の方が速いという、単純に「定期借家=安い」とは言い切れない状況が起きています。

なぜ定期借家が増えているのか。専門家の見解

LIFULL HOME’S総研の中山登志朗チーフアナリストは、定期借家契約の拡大が賃料上昇の一因になっていると分析しています。普通借家契約で賃料を引き上げるには、借地借家法第32条第1項に基づき、①税や管理コストの負担増、②物価上昇などの経済事情、③近隣同種物件の賃料との比較、といった明確な根拠が必要です。一方、定期借家契約では、契約期間満了時に再契約の条件として賃料アップを提示でき、承諾しなければ契約が終了するという構造上、賃料を引き上げやすい制度になっていると指摘しています(出典:同上)。

 

中山氏によると、定期借家契約が制度化されたのは2000年の借地借家法改定以降で、当初は建て替えや転勤時の一時貸しなど、貸主側の事情に対応するための制度でした。しかし現在は、賃料引き上げの手段として活用されているケースが目立ち、当初の主旨とは異なる使われ方が広がっていると述べています(出典:同上)。

 

定期借家物件を検討する際の注意点

契約期間と再契約の条件を確認する

契約期間が何年に設定されているか、再契約の際にどのような手続き・条件が必要になるかを、契約前に必ず確認しましょう。

再契約時の賃料交渉の余地を把握しておく

中山氏は、再契約の際には普通借家契約の賃料相場を参考に、引き上げ幅の目安を自分の中で持っておくことを勧めています(出典:同上)。周辺の普通借家物件の家賃相場も合わせて調べておくと、交渉の材料になります。

長く住みたい場合は契約形態も確認する

長期間住み続けたいと考えている場合、家賃だけでなく、その物件が普通借家か定期借家かを事前に確認することが重要なポイントになります。

物件探しのチェックリスト

  • 契約形態が普通借家か定期借家か確認したか
  • 定期借家の場合、契約期間と再契約の条件を確認したか
  • 周辺の普通借家物件の家賃相場も調べているか
  • 長期居住を希望する場合、その点を不動産会社に伝えているか

 

よくある質問

定期借家契約は途中で解約できますか?

原則として、借主からの途中解約は制限されています。ただし、床面積200㎡未満の住宅で、転勤・療養・親族の介護などのやむを得ない事情がある場合には、法律上の解約が認められるケースがあります。詳細は契約書や不動産会社に確認することをおすすめします。

再契約を拒否されることはありますか?

定期借家契約は更新という概念がないため、貸主が再契約に応じない可能性もあります。長期居住を希望する場合は、この点もあらかじめ確認しておくことをおすすめします。

定期借家か普通借家かは、どこで確認できますか?

物件情報や契約書に記載されています。気になる場合は、内見時や契約前に不動産会社へ直接確認することをおすすめします。

まとめ|「更新できない契約」が広がる今、事前確認がより重要に

首都圏の賃貸市場では、定期借家契約の存在感が着実に高まっています。「定期借家は安い」というイメージだけで判断せず、再契約時の条件や賃料交渉の余地を事前に把握しておくことが、長く安心して住み続けるためのポイントになります。

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