
「最近、急に家賃が上がった気がする」と感じることはあっても、「もう7年以上ずっと上がり続けている」と実感している人は少ないのではないでしょうか。
結論からいうと、家賃の動きを示す指数は2018年12月から一度も途切れることなく、86ヶ月連続で上昇を続けています。この記事では、その最新データと背景、部屋探しへの向き合い方を解説します。
目次
86ヶ月連続で上昇している「家賃指数」とは
一橋大学と大東建託が共同開発した「一橋大学・大東建託CPI方式家賃指数」は、大東建託が管理する賃貸物件の家賃データをもとに算出される、消費者物価指数(CPI)の考え方に基づいた家賃の指数です(出典:一橋大学Hi-Stat/CREPE、2025年8月25日ニュースリリース)。この指数は月次で公表されており、家賃の長期的なトレンドを追うことができます。
2026年2月25日に発表された2026年1月度のデータによると、全国の家賃指数は前年同月比+1.08ポイント(前月比+0.05ポイント)となり、2018年12月以降、86ヶ月連続で上昇を続けています(出典:一橋大学・大東建託 2026年2月25日発表)。単月の変化は小さくても、7年以上にわたって一度も下落することなく上がり続けている点が、この指数の特徴です。
この指数がユニークなのは、実際に大東建託が管理する物件の家賃データという「一次データ」に基づいている点です。アンケート調査やサンプル抽出ではなく、実際の賃貸借契約の情報を用いることで、より実態に近い家賃の動きを捉えられるとされています(出典:一橋大学Hi-Stat/CREPE、2025年8月25日ニュースリリース)。
都道府県別に見ると、沖縄県の上昇率が最大
2026年1月度の主な都道府県別データ(前年同月比)は以下の通りです(出典:同上)。
| 地域 | 前年同月比 | 前月比 |
|---|---|---|
| 全国 | +1.08pt | +0.05pt |
| 北海道 | +0.59pt | -0.04pt |
| 東京都 | +1.76pt | +0.10pt |
| 大阪府 | +1.17pt | +0.11pt |
| 福岡県 | +0.64pt | +0.03pt |
| 沖縄県 | +3.18pt | +0.16pt |
掲載されている主要都道府県の中では、沖縄県の上昇率が最も大きく、全国平均の約3倍のペースで上昇しています。東京都も全国平均を上回る+1.76ポイントとなっており、都市部を中心に上昇が続いていることがわかります。
なぜ「実感しにくいのに」上がり続けているのか
この指数の伸び幅は、1ヶ月あたり0.05〜0.1ポイント程度と、単月で見ると非常に小さな変化です。そのため、日々の生活の中で「家賃が上がった」と強く実感する場面は少なく、気づかないうちに積み重なっているのが実情です。
以前お伝えした通り、この背景には建築・修繕費の高騰や、現役世代の持ち家志向の低下といった構造的な要因があるとされています(出典:日本総合研究所リサーチ・アイ No.2025-147、2026年3月5日)。都市部への人口流入や単身世帯の増加が続く限り、こうした緩やかな上昇トレンドは今後も継続する可能性があります。人口減少が進む地域であっても、賃貸物件の供給が需要ほど増えていない場合には、同様に上昇が続く可能性があると考えられます。
この指数から読み取れること
「今は上がっていない」と思っても、実は上がっている
前月比が小さい月が続くと、家賃は落ち着いているように感じられます。しかし、86ヶ月という長期スパンで見れば、上昇が止まったことは一度もありません。「そろそろ落ち着くはず」という期待だけで判断せず、長期トレンドを踏まえて動くことが大切です。
更新のたびに家賃が上がる前提で予算を組む
賃貸契約は2年ごとの更新が一般的です。次の更新時にも家賃が緩やかに上昇している可能性を踏まえ、余裕を持った予算設定をしておくと安心です。
部屋探し・住み替えのチェックリスト
- 現在の家賃が、契約時からどのくらい変わっているか確認したか
- 次の更新時に家賃が上がる可能性を踏まえて予算を組んでいるか
- 「そのうち下がるはず」という期待だけで住み替えを先延ばしにしていないか
- 気になる物件があれば、早めに情報収集を進めているか
よくある質問
この指数と、実際に自分が住んでいる物件の家賃は関係がありますか?
この指数は市場全体の傾向を示すもので、個別の物件の家賃改定は、契約内容や大家の判断によって異なります。ご自身の物件の家賃については、契約書や更新通知を確認することをおすすめします。
今後も上昇は続きますか?
今後の見通しについて、確認できる確定的な予測データは今回見つかりませんでした。最新の指数は、一橋大学の公表データで随時確認できます。
「募集家賃」と「実際に住んでいる人の家賃」は違うのですか?
内閣府の分析では、消費者物価指数の民営家賃は、既に住んでいる人の家賃も含むため、新規に部屋を探す人が直面する「募集家賃」の上昇に比べて遅れて反映される傾向があるとされています(出典:内閣府「今週の指標No.1417」2026年6月30日発表)。今回ご紹介した一橋大学・大東建託の指数は、実際の賃貸データに基づくもので、市場の動きをより直接的に反映しています。
まとめ|小さな変化の積み重ねが、大きなトレンドに
家賃指数は2018年12月から86ヶ月にわたり、一度も途切れることなく上昇を続けています。1ヶ月あたりの変化は小さくても、積み重なれば実際の負担は確実に増えています。「最近落ち着いている気がする」という感覚だけに頼らず、長期的なトレンドを踏まえた予算計画や住み替えの判断をしていくことが大切です。特に更新のタイミングが近づいている方は、今の家賃と市場全体の動きを見比べておくと、次の判断がしやすくなります。
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