
「もうすぐ更新の案内が届きそうだけど、このまま住み続けていいのかな?」
「更新料を払うより、引っ越した方が安いこともあるって聞いたけど本当?」
賃貸物件に住んでいると、契約から1〜2年ほどで「更新」のタイミングを迎えます。
更新料や更新事務手数料がかかる一方、引っ越しには敷金・礼金・仲介手数料など新たな初期費用がかかるため、どちらが得なのか迷う方も多いのではないでしょうか。
結論からいうと、更新か引っ越しかは「更新にかかる費用」と「引っ越しにかかる費用・条件の変化」を比較したうえで、住み続ける理由の有無とあわせて判断するのが基本です。
この記事では、更新の仕組みや費用相場、引っ越しとの費用比較、判断のポイントまで詳しく解説します。
更新の案内が届いて悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
目次
賃貸の「更新」とは?仕組みをおさらい
賃貸借契約には、多くの場合「契約期間」が定められています。一般的には2年契約が多く、期間満了が近づくと更新の案内が届きます。
合意更新と法定更新の違い
更新には、貸主・借主が合意のうえで契約を更新する「合意更新」と、借地借家法の規定に基づき自動的に更新される「法定更新」の2種類があります。
普通借家契約では、期間満了の1年前から6か月前までの間に、貸主・借主のいずれからも更新拒絶や条件変更の通知がない場合、従前と同一の条件で契約が更新されたとみなされます(出典:マネーフォワード クラウド「賃貸の更新料とは?金額相場や更新時のトラブル予防方法を解説」2025年12月25日)。
これが法定更新で、借地借家法第26条に基づく制度です(出典:リタ不動産「法定更新とは?合意更新との違いや更新料の取り扱い、トラブル例を解説!」2025年9月25日)。
貸主が期間満了を理由に契約を終了させるには「正当事由」が必要とされているため、実務上は多くの居住用賃貸で法定更新が生じ得るとされています(出典:マネーフォワード クラウド、同上)。
更新料が請求できるかは契約書の記載による
更新料は法律で義務付けられた費用ではなく、契約書に更新料の定めがある場合に発生する費用です。
また、法定更新となった場合に更新料を請求できるかどうかは、契約書の規定の書きぶりによって解釈が分かれる場合があります(出典:不動産投資DOJO「法定更新時、更新料の支払義務はあるのか?」)。
更新の案内が届いたら、まずは契約書で更新料・更新事務手数料の記載を確認しましょう。
更新にかかる費用の相場
更新のタイミングでは、主に「更新料」と「更新事務手数料」の2つの費用がかかる場合があります。
更新料の相場
更新料の相場は家賃の1〜1.5か月分とされています(出典:オウチーノニュース「賃貸の更新料の相場はいくら?返ってくるの?費用の目安を解説!」2025年8月8日)。
国土交通省の「令和4年度住宅市場動向調査報告書」によると、更新手数料(更新料)がある賃貸住宅は45.8%、不要な賃貸住宅は39.2%で、更新料がある場合は「家賃1か月分」が77.2%と最も多くなっています(出典:同上)。
地域差も大きく、東京都では約65%の賃貸住宅で更新料の支払いが必要とされる一方、大阪府では更新料の慣習がほとんどないとされています(出典:同上)。
更新事務手数料の相場
更新の手続きを不動産会社に委託している場合、更新事務手数料が発生することがあります。相場は家賃の0.2〜0.5か月分とされ、家賃10万円なら2〜5万円ほどが目安です(出典:サトちん「賃貸の更新事務手数料とは?更新料との違い&払いたくない時の交渉方法」)。
更新事務手数料には法律上の上限が定められていないため、明らかに相場から離れた金額を求められた場合は、契約書・重要事項説明書の記載を確認しましょう(出典:同上)。
そのほか更新時にかかる費用
- 火災保険の更新料(相場1〜2万円程度)
- 保証会社を利用している場合の更新保証料
- 物件によっては設備点検費用など
これらを合計すると、家賃8万円の物件で更新料・事務手数料だけでも合計10万円を超えるケースがあります(出典:家族ラボ「賃貸の更新料はいくら?【2026年版】相場・交渉術・払わなくていいケース」2026年4月10日)。
引っ越しにかかる費用の相場
一方、引っ越して新しい物件に住み替える場合は、契約時の初期費用がまとまって必要になります。
初期費用は家賃の4〜6か月分が目安
賃貸契約における初期費用の相場は、一般的に家賃の4〜6か月分とされています(出典:door.ac「引っ越しに必要な初期費用の相場はいくら?安く引っ越すための8つのコツ」)。
主な内訳は次のとおりです。
- 敷金(家賃1〜2か月分が目安)
- 礼金(家賃1〜2か月分が目安)
- 仲介手数料(家賃1か月分+消費税が上限)
- 前家賃・日割り家賃
- 火災保険料
- 鍵交換費用
- 保証会社利用料
これに加えて、引っ越し業者への支払いや、家具・家電の買い替え費用が発生する場合もあります。
更新と引っ越し、費用を比較シミュレーション
家賃8万円の物件を例に、更新した場合と引っ越した場合の費用を比較してみましょう。
| 項目 | 更新する場合 | 引っ越す場合(目安) |
|---|---|---|
| 更新料 | 8万円(家賃1か月分) | − |
| 更新事務手数料 | 1.6〜4万円(家賃0.2〜0.5か月分) | − |
| 敷金・礼金 | − | 16万円(各1か月分の場合) |
| 仲介手数料 | − | 0〜8.8万円(無料〜1か月分+消費税) |
| その他諸費用 | 数千円〜1万円程度 | 数万円程度 |
| 引っ越し業者費用 | − | 数万円〜十数万円 |
| 費用の目安合計 | 約10〜13万円 | 約25〜45万円 |
費用面だけを見ると、更新の方が一時的な負担は小さく済むケースが多いといえます。
ただし、引っ越し先の家賃が現在より安ければ、月々の支払いで数年かけて差額を回収できる可能性もあるため、単純に金額だけで判断せず、住み続ける期間も含めて考えることが大切です。
更新がおすすめの人
今の部屋・エリアに満足している人
立地、周辺環境、部屋の広さや設備に不満がなく、引っ越す明確な理由がない場合は、更新して住み続ける方が費用面での負担は小さくなりやすいです。
まとまった初期費用の準備が難しい人
更新料は家賃1〜1.5か月分が相場である一方、引っ越しの初期費用は家賃4〜6か月分が相場とされています(出典:オウチーノニュース、door.ac、いずれも前掲)。まとまった資金の準備が難しい時期は、更新の方が負担を抑えやすいといえます。
近々ライフスタイルの変化が予定されていない人
転勤や転職、家族構成の変化などの予定が当面ない場合は、更新して様子を見るのも選択肢です。
引っ越しを検討した方がいい人
家賃や設備に不満がある人
「家賃が周辺相場より高い」「収納や設備に不満がある」など、住み続けることに明確なデメリットがある場合は、引っ越しで条件を見直すきっかけになります。
ライフスタイルが変わった・変わる予定がある人
転職、転勤、同棲、家族が増えたなど、住まいに求める条件が変わった場合は、更新のタイミングが物件を見直す良い機会になります。
更新料や更新事務手数料の負担が大きいと感じる人
更新料の相場は地域差が大きく、東京都では約65%の賃貸住宅で必要とされる一方、大阪府ではほとんど発生しないとされています(出典:オウチーノニュース、前掲)。
更新料の負担が大きいと感じる場合、更新料なしのエリア・物件へ引っ越すことで、次回以降の更新費用を抑えられる可能性もあります。
判断に迷ったときのチェックリスト
更新の案内が届いたら、次の項目を確認してから判断しましょう。
- 契約書に更新料・更新事務手数料の記載があるか、金額はいくらか
- 更新後の家賃・管理費に変更はないか
- 今の家賃は周辺相場と比べて高くないか
- 今の部屋・設備・立地に不満はないか
- 今後1〜2年でライフスタイルが変わる予定はないか
- 引っ越す場合、初期費用をまとまって準備できるか
- 引っ越し先の候補物件の家賃・初期費用はどれくらいか
特に「更新後も同じ期間住み続ける前提で、更新費用と家賃差額のどちらが総額で得か」という視点で比較すると判断しやすくなります。
迷ったら早めに不動産会社へ相談する
更新の通知は契約満了の1〜3か月前に届くことが一般的です。引っ越しを検討する場合、物件探し・内見・契約手続きにはある程度の期間が必要になるため、迷っている段階で早めに不動産会社へ相談しておくと安心です。
更新・引っ越しに関するよくある質問
更新料は必ず払わないといけませんか?
更新料は法律で定められた費用ではなく、契約書に定めがある場合に発生する費用です。契約書に更新料の記載がなければ、原則として支払う必要はありません(出典:イエプラ「賃貸の更新料の相場は家賃何ヶ月分?いつ払うもの?」2025年6月20日)。まずは契約書の記載を確認しましょう。
更新しないで引っ越す場合、何か違約金はかかりますか?
更新をせずに退去すること自体に違約金は発生しないのが一般的です。ただし、契約内容によっては別途「短期解約違約金」などの特約が設定されている場合があるため、契約書を確認しておきましょう。
更新料を払いたくない場合、交渉はできますか?
更新料は法律上の義務ではなく、貸主・不動産会社との合意に基づく費用のため、金額や条件について相談できる場合があります。ただし、必ず減額に応じてもらえるとは限りません。
更新のタイミングで家賃交渉はできますか?
契約の見直しのタイミングであるため、周辺相場との比較などをもとに交渉できる場合があります。ただし、応じるかどうかは貸主の判断によります。
結局、更新と引っ越しどちらがお得ですか?
一時的な費用だけで見れば、更新の方が負担は小さいケースが多いとされています。ただし、家賃差額や住環境の変化まで含めた場合、引っ越しの方が長期的にお得になることもあります。一概にどちらが得とはいえないため、ご自身の状況に合わせて比較することが大切です。
更新か引っ越しかは「総額」と「住み続ける期間」で判断しよう
更新にかかる費用は家賃1〜1.5か月分程度が相場である一方、引っ越しの初期費用は家賃4〜6か月分が相場とされています。
費用だけを見れば更新の方が一時的な負担は小さく済みますが、家賃差額や住環境への満足度、今後のライフスタイルの変化まで含めて考えることが大切です。
更新の案内が届いたら、契約書の内容を確認したうえで、費用面と暮らしの面の両方から判断しましょう。
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