
不動産を初めて購入するときに「不動産取得税」と聞いて、どのような税金なのかわからない方も多いでしょう。マイホームの設備や内装の費用がかさみ、税負担を軽減させたいと思う方も少なくないはずです。税金と聞くだけで、難しく感じる人もいるかもしれません。
この記事では、不動産取得税の概要や金額の計算方法をわかりやすく解説します。税額を抑えられる軽減措置まで紹介するため、税負担を軽くして新生活をより充実させたい方は、最後までお読みください。
※本記事に記載されている内容は、2025年6月執筆時点のものです。記事公開以降に、法改正される可能性もありますので、最新情報は不動産を管轄する都道府県や税事務所のホームページなどでご確認ください。
目次
不動産取得税とは
不動産取得税は、土地や建物の購入をしたときに、その不動産が所在する都道府県に一度だけ納める税金です。たとえば、新しい家を建てるときや、中古のマンションを購入するとき、親から土地を贈与されたときなどに課税されます。
不動産を取得したことに対してかかる税金であり、毎年課税される固定資産税とは異なります。
不動産取得税を支払うタイミング
不動産を管轄する自治体によって異なりますが、不動産取得税を支払うタイミングは、取得してから約6ヶ月後です。都道府県が不動産の評価を行い、納税通知書を作成するまでに時間がかかるためです。
納税通知書は、不動産の所在地を管轄する都道府県の税事務所から、郵送で送られてきます。都道府県によっても異なりますが、支払い期限は通知書が届いてから約1ヶ月後、あるいは送付されたタイミングの月末に設定されています。
不動産取得税の支払い方法
不動産取得税は、納税通知書に同封されている納付書を銀行や郵便局、コンビニエンスストアに持参して、現金で支払います。
都道府県によっては、クレジットカード払いやペイジー(Pay-easy)払い、スマートフォン決済アプリを利用した支払いに対応しています。
ただし、クレジットカード払いは、別途手数料がかかるケースがほとんどです。
不動産取得税の支払いを忘れてしまったときの対処法
もし支払い期限を過ぎてしまったことに気づいたら、できるだけ早く税事務所に連絡を入れましょう。支払い期限を過ぎても、改めて納付書を送ってくれたり、支払い方法について相談に乗ってくれたりする場合があります。
支払い期限を過ぎてしまうと、延滞税が発生します。原則として、税率は納税期限の翌日から2カ月までは年7.3%、以降は年14.6%です。
不動産取得税の支払いを放置すると、督促状が届いたり、最終的には財産が差し押さえられたりする可能性もあるため、迅速に対応しましょう。
テレルームが不動産購入をサポート
不動産購入には、不動産取得税以外にもさまざまな税金が関わってきます。もし複雑な制度や税制に不安を感じる場合は、テレルームをご利用ください。
テレルームは、物件探しから契約、そして税金に関するアドバイスまで、専門知識を持つ担当者がサポートしてくれるため、安心して不動産購入を進められます。
専門知識が必要な場面でも、テレルームの担当者が的確なアドバイスを提供してくれるでしょう。不動産購入は一生に一度の大きな買い物です。分からないことや不安なことがあれば、プロのサポートを検討してみてください。
不動産取得税の軽減措置
不動産取得税は、軽減措置を利用して税負担を軽減できます。軽減措置を利用する要件は、新築住宅と中古住宅によって異なります。
不動産取得税の軽減措置が受けられる新築住宅の要件と軽減額
新築住宅の不動産取得税の軽減措置は、建物と土地で要件と軽減額が異なります。それぞれの要件と軽減額を見ていきましょう。
建物の要件と軽減額
新築住宅の建物が不動産取得税の軽減措置を受けるためには、以下の要件を満たす必要があります。
・個人の居住用の家屋である
・床面積が50㎡以上240㎡以下である
なお、戸建以外の貸家住宅の場合、床面積の最低面積は40㎡です。
上記の要件を満たす新築住宅は、建物の課税標準額から1,200万円、長期優良住宅は1,300万円が控除されます。長期優良住宅とは、長期にわたり良好な状態で使用するために、劣化対策やバリアフリーなどの措置が講じられた住宅です。
土地の要件と軽減額
新築住宅用の土地を取得した場合、新築住宅の種類によって土地の要件は異なります。
<新築住宅と土地を取得した場合の要件>
2026年3月31日までに新築住宅を建てた土地に軽減措置を利用したいときは、以下の要件を満たす必要があります。
・不動産取得税の軽減を受ける新築住宅用の土地である
・敷地を取得した日から3年以内に住宅が新築された、あるいは敷地の取得者が敷地を取得する日前1年以内に住宅を新築した
なお100区画以上の共同住宅等で、やむを得ない事情があると都道府県の知事が認めた場合は、敷地を取得した日から4年以内に住宅が新築された場合にも軽減措置を利用できます。
<未使用の新築住宅と土地を取得した場合の要件>
また新築の土地付建売住宅や新築分譲マンションなど未使用の新築住宅と土地を取得した場合は、以下の要件を満たさなければ軽減措置は適用できません。
・上記の住宅の軽減を受ける未使用の新築住宅(新築後1年以内)と土地を同一の人が取得する
・不動産取得税の軽減措置を受ける未使用の新築住宅を、土地を取得した日から1年以内に、または土地を取得する日前1年以内に土地の取得者が取得する
なお、新築の建物と土地を同時に取得した場合も適用されます。
新築の住宅が建てられた土地の税額計算時には、以下のうちいずれか高い金額を控除します。
・45,000円
・土地1㎡あたりの価格×住宅の床面積の2倍×3%
なお住宅の床面積は最大200㎡と定められています。
不動産取得税の軽減措置が受けられる中古住宅の要件と軽減額
中古住宅も新築住宅と同様に、建物と土地で軽減措置の要件と軽減額が異なります。不動産取得税を納税する前に、要件を満たしているか確認しましょう。
建物の要件と軽減額
要件は新築住宅と同様に、床面積が50㎡以上240㎡以下で、個人の居住用であることです。中古住宅に限り、以下のうちいずれかの要件も追加で満たさなければなりません。
・1982年1月1日以降に新築された住宅を取得した
・建築士等の証明書により、新耐震基準に適合していることが証明されている住宅を取得した
証明書は、住宅の取得日より前2年以内に調査を行ったものに限ります。
中古住宅は、建物の新築された時期や不動産を管轄する自治体によって軽減される金額が変わります。東京都内にある建物の控除される金額は、以下の通りです。
新築されたタイミング | 控除額 |
1981年7月1日~1985年6月30日 | 420万円 |
1985年7月1日~1989年3月31日 | 450万円 |
1989年4月1日~1997年3月31日 | 1,000万円 |
1997年4月1日以降 | 1,200万円 |
土地の要件と軽減額
中古住宅の土地の要件は、土地を取得した日から1年以内、または土地を取得する日前1年以内に、軽減措置を受ける中古住宅用の土地の取得者が取得することです。
土地の税額の計算において、新築住宅と同様にいずれか高い方を控除する軽減措置が適用されます。
・45,000円
・土地1㎡あたりの価格×住宅の床面積の2倍×3%
中古マンションの購入を考えている方は、こちらの記事をご覧ください。
中古マンション購入で失敗しない完全ガイド|メリット・デメリットから賢い資金計画、内見のポイントまで徹底解説
不動産取得税の軽減措置を利用する方法
軽減措置を利用するには、不動産の取得後に、不動産が所在する都道府県の税事務所にご自身で申告する必要があります。
申告するときの必要書類は、不動産の登記簿謄本や住民票、納税通知書などです。期限が定められているケースが多く、納税通知書が届いたら、速やかに手続きを進めましょう。
もし手続きに不安がある場合は、不動産会社の担当者や税理士などの専門家に相談することが大切です。
不動産取得税がかからない条件
ケースによっては、不動産を取得しても不動産取得税がかかりません。
たとえば、相続によって不動産を取得した場合です。相続は法律に基づいて自動的に所有権が移るため、取得とは異なると考えられているためです。
また以下のように課税標準額が一定の金額よりも低い土地や建物を取得した際も、不動産取得税がかかりません。
課税標準額とは、固定資産税の計算をするときに基になる価格です。原則として、課税標準額は固定資産税課税台帳に登録された評価額と同様です。
不動産の種類 | 課税標準額 |
土地 | 10万円未満 |
新築・増築・改築した家屋 | 23万円未満 |
上記以外の建物 | 12万円未満 |
なお、土地や建物を取得した日から1年以内に隣接する土地を取得した、あるいはその家屋と一構となる家屋を取得したケースでは、改めて一つの土地、一戸の建物として課税標準額を評価します。
上記の課税標準額を満たしていても、新たに不動産を購入して再評価された際に課税標準額を上回り、不動産取得税が課税される可能性があります。
参考:不動産取得税 | 東京都主税局
不動産取得税の計算方法
不動産取得税の計算は少し複雑に感じるかもしれませんが、基本的な考え方を理解すれば、おおよその税額を自分で計算できます。「課税標準額 × 税率」の計算式で、金額を求められます。
それでは、2025年に建てられた建物2,000万円、土地1,500万円の新築住宅にかかる不動産取得税の金額を計算してみましょう。
新築住宅の建物の計算例
建物の固定資産評価額から、軽減措置を利用して1,200万円を控除してから税額を計算します。2027年3月31日まで、家屋の不動産取得税の税率は特例によって3%に軽減されています。なお非住宅である家屋の税率は、4%です。
建物2,000万円(課税標準額) − 1,200万円(軽減措置の控除額) = 800万円
800万円 × 3%(税率) = 24万円
新築住宅の土地の計算例
土地の不動産取得税には、宅地の課税標準額の特例も併用して適用できる可能性があります。2027年3月31日まで、不動産取得税を計算するときに宅地の課税標準額は、2分の1で評価されます。
土地1,500万円(課税標準額)÷ 2=750万円
2027年3月31日まで、土地の税率は特例によって3%に軽減されています。今回は、不動産取得税の軽減措置を適用し、45,000円の控除が受けられるケースを計算します。
750万円 × 3%(税率)=225,000円
225,000円 − 45,000円(軽減措置の控除額) =180,000円
なお上記の計算はあくまで目安であり、実際の税額は不動産の状況や適用される軽減措置によって異なります。
正確な税額を知りたい場合は、不動産を取得する都道府県の税事務所に相談しましょう。
まとめ
不動産取得税とは、土地や建物を取得したときに一度だけ都道府県に納める税金です。納税通知書が届いたタイミングで、銀行やコンビニなどで支払います。うっかり支払いを忘れてしまうと延滞税が発生するため、早めに不動産を管轄する税事務所に連絡しましょう。
不動産取得税は、特定の要件を満たす場合に軽減措置が適用され、税額を抑えられる可能性があります。軽減措置を受けるために、期間内に税事務所へ申告してください。
もし正確な税額や手続きに不安がある場合は、専門家である不動産会社に相談することをおすすめします。
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