
「引っ越しは春の繁忙期を過ぎてからのほうが家賃が下がる」——そう聞いて時期をずらした人もいるのではないでしょうか。
ところが、2026年はその「常識」が崩れつつあります。
結論からいうと、2026年は新生活シーズンが終わった夏場になっても、東京23区を含む主要都市で家賃の上昇が続いています。この記事では、そのデータと背景にある要因、これから部屋探しをする人が取れる対策を解説します。
目次
新生活シーズン後も続く家賃上昇のデータ
アットホーム株式会社が2026年7月27日に発表した「2026年6月 全国主要都市の賃貸マンション・アパート募集家賃動向」によると、首都圏全エリアを含む計10エリアで、マンションの平均家賃が全ての面積帯で前年同月を上回りました(出典:アットホーム株式会社 2026年7月27日発表)。通常、家賃相場は3〜4月の新生活シーズンをピークに落ち着く傾向がありますが、シーズンを過ぎた6月時点でも上昇が続いている点は異例です。
この動きは今年に入って急に始まったものではありません。同社の2026年2月調査では、23区・30㎡以下のシングル向けマンションの平均家賃が11万177円となり、前年同月比12.0%上昇。調査開始以来、初めて11万円台に乗せました(出典:アットホーム株式会社 2026年2月調査、ダイヤモンド不動産研究所 2026年5月28日公開)。
LIFULL HOME’Sの調査でも同様の傾向が確認されています。「LIFULL HOME’S マーケットレポート2026年5月」では、東京23区のシングルタイプの反響賃料(ユーザーが実際に問い合わせた物件の賃料)が2か月連続で10万円台に達したと報告されています(出典:株式会社LIFULL 2026年6月4日発表)。
面積帯別に見ても、上昇は一部の物件タイプに限った動きではありません。アットホームの調査では、2025年7月時点で23区のシングル向け物件が10万3265円、カップル向け物件が16万8765円、ファミリー向け物件が24万7375円と、いずれも過去最高を記録していました(出典:アットホーム株式会社「2025年7月 全国主要都市における賃貸マンション・アパートの平均家賃」)。そこからさらに、2026年2月時点でシングル向けが11万円台に達しており、面積帯を問わず上昇基調が続いていることがわかります。
なぜ新生活シーズン後も家賃が下がらないのか
この背景には、供給側・需要側それぞれの要因があります。
供給側:建築費の高騰
日本総合研究所のレポートによると、家賃上昇の背景には建築・修繕費の高騰という供給面の要因があるとされています(出典:日本総合研究所リサーチ・アイ No.2025-147、2026年3月5日)。LIFULL HOME’Sの分析でも、建築費高騰に伴う新築賃料の押し上げに加えて、投資家が利回りを確保するために強気な募集賃料を設定していることが背景にあると指摘されています(出典:LIFULL HOME’Sマーケットレポート、2026年3月データ、2026年4月発表)。
需要側:持ち家志向の低下と単身世帯の増加
同じく日本総合研究所のレポートでは、現役世代の持ち家志向が弱まっていることも需要面から家賃を押し上げていると分析されています。今後も、住宅価格上昇が顕著な都市部への人口流入や単身世帯の増加といった構造的な要因から、持ち家率が低下し、家賃への上昇圧力が続く可能性があるとしています(出典:同上)。
見えてきた「掲載賃料」と「予算感」のズレ
ここで注目したいのが、LIFULL HOME’Sのデータで示された「掲載賃料」と「反響賃料」の乖離です。掲載賃料(募集されている家賃)は上昇を続ける一方、反響賃料(ユーザーが実際に問い合わせた物件の賃料水準)はほぼ横ばいで推移していると報告されています。これは、物価高による可処分所得の圧迫などを背景に、消費者が住まいにかけられる予算が、市場賃料の上昇に追いついていない実態を示していると分析されています(出典:LIFULL HOME’Sマーケットレポート、2026年3月データ、2026年4月発表)。
つまり、同じ予算で選べる物件の条件(エリア・広さ・築年数など)は、実質的に狭まっていると考えられます。早めの情報収集と、条件の優先順位付けがこれまで以上に重要になっています。
今から部屋探しをする人ができる対策
条件の優先順位を明確にする
「エリア」「広さ」「築年数」「駅からの距離」など、譲れない条件とそうでない条件を事前に整理しておくことで、予算内での判断がスムーズになります。
候補エリアを広げてみる
人気エリアの隣接区や、駅から少し離れたエリアまで候補を広げると、同じ予算でも選択肢が増える可能性があります。
早めに動き出す
相場が上昇局面にあるときは、決断を先延ばしにするほど選べる物件が減っていく可能性があります。気になる物件が見つかったら早めに問い合わせることをおすすめします。
部屋探しのチェックリスト
- 家賃の上限は手取り月収のどのくらいまでか、事前に決めているか
- 譲れない条件(エリア・広さ・設備など)を3つ以内に絞れているか
- 隣接エリアや駅から少し離れた物件も候補に入れているか
- 気になる物件情報は、最新の相場と照らして確認しているか
よくある質問
家賃はいつまで上昇が続きますか?
今後の見通しについて、確認できる公式な予測データは今回見つかりませんでした。最新の相場は、部屋探しのタイミングで改めて確認することをおすすめします。
閑散期(夏〜秋)に探せば安くなりますか?
例年は閑散期に家賃が落ち着く傾向がありましたが、2026年はアットホームの調査で夏場(6月時点)でも上昇が続いていることが確認されています(出典:アットホーム株式会社 2026年7月27日発表)。時期だけに頼らず、エリアや条件の広げ方で対策することが重要です。
家賃を下げる交渉はできますか?
物件や貸主によって対応は異なるため、一律にお答えすることはできません。気になる物件があれば、不動産会社に直接相談することをおすすめします。
まとめ|相場の変化を踏まえた早めの行動を
2026年は、例年なら落ち着くはずの新生活シーズン後も家賃上昇が続いている点が特徴です。背景には建築費の高騰や持ち家志向の低下といった構造的な要因があり、当面はこの傾向が続く可能性があります。掲載賃料と実際の予算感にズレが生じている今だからこそ、条件の優先順位を整理し、早めに動くことが重要です。
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